Hungerford4章読む(12/6)

これは「今年中にHungerford4章読むぞ Advent Calendar 2021」6日目の記事です。


今日はDefinition 2.8まで読みました。以下では環は単位的とします。
最初に目に入るのが「自由加群の基底の濃度は一般に定まらない」というかなり絶望的な文ですが、T2.6で基底の濃度が無限の時はどんな基底を取ってきても等しくなることがわかります。証明ですが、まず最初にある基底が無限集合なとき、どんな基底を取ってきても有限でないことを示します。その後その無限基底の濃度が全て等しいことを言います。後者が結構大変ですが一応流れを書きます(畳んでいます)。

後者部分の証明の流れメモ 集合の対等を証明したいので、単射を両側から構成すればいい。 X Yを(単位的)自由加群 Fの(無限)基底としたら、 x \in Xの元を表す Yの有限部分集合が存在するので、この割り当てを f: X→K(Y) K(Y) Yの有限部分集合の集合とする。 \mathrm{Im} fが無限集合なのは像の合併を考えると示せる。 \mathrm{Im} f \subset Yなので、 Xから \mathrm{Im} fへの単射を構成したいが、 fは一般に単射ではないので一工夫が必要。ここで f(x) = T \subset Yとなる xの集合 f^{-1} \lbrack T \rbrackを考えると、これは T \in \mathrm{Im} fによって Xを分割するので、 x \in f^{-1} \lbrack T \rbrackにインデックスをつけることで、単射 x \mapsto (T, i), x \in f^{-1} \lbrack T \rbrackとして構成することが思いつく(つかんが?)
あとは f^{-1} \lbrack T \rbrackの有限性を示せばよいこの部分の解読で詰まったため大幅に遅刻した。有限集合 S \subset Xとして f^{-1} \lbrack T \rbrack \subset Sなるものが存在することを示すために、 x \in f^{-1} \lbrack T \rbrackを固定する。 Tが生成する加群 F_T f^{-1} \lbrack T \rbrack \subset F_Tを満たすが、これは有限生成なので有限集合 S \subset Xが生成する加群 F_S \supset F_Tとなるものが存在し、 x \in f^{-1} \lbrack T \rbrack \subset F_T \subset F_S \subset Xとなる。 x \notin Sとすると、 S \subset Xの線形結合で xが書けてしまうが、これは Xが線形独立なことと矛盾するため、 x \in Sとならなければならない。

…ひじょーに疲れましたが、もう1つだけ進めます。次のT2.7は可除環上の加群(ベクトル空間)については基底の濃度が定まることを言ってます。このように自由加群の基底の濃度が定まるような係数環を「不変次元性(invariant dimension property)」を持つと言って、その濃度を次元とか(ベクトル空間以外については特に)ランクと言います。
無限の場合はすでに上で泣きながら証明したので、有限の場合だけ考えればいいです。手順としては、2つの有限な基底を X = \lbrace x_1, ..., x_n \rbrace , Y = \lbrace y_1, ..., y_m \rbrace , n \lt mとして、係数環が割り算できることを生かして X Yの基底を入れ替えていくと証明できます。


このアドカレで地味にはてなMarkdownの機能をいろいろ使い出してるな…
「解読で詰まった」とさも本が悪いように書いたが、完全に英語と数学ができない私のせいです。

明日も頑張ります。