Hungerford4章読む(12/5)

これは「今年中にHungerford4章読むぞ Advent Calendar 2021」5日目の記事です。
鬼滅の刃を見ていたので少し遅れました。


4日目までの内容をノートに書いていってたのですが、T1.5(ii)についてあまり他で見当たらない記述を見たので最初に少し書きます。以下で Aを環 R上の加群とします。

Theorem 1.5 (ii) (一部記号など書き換えがあります)  a \in Aが生成する R加群を巡回(部分)加群と言い、 C = \lbrace ra+na \mid r \in R, n \in \mathbb{Z} \rbraceと書く。特に Rが単位的環かつ Cが単位的 R加群のとき、 C = \lbrace ra \mid r \in R \rbrace = Raとなる。
少し検索した範囲では下線部のほうを巡回加群と呼ぶものしか見当たりませんでした。 C R加群になることは s \in Rとして s(ra+na)=(sr+ns)aとすれば、 Rの作用で閉じることから証明できます。ここで Rもアーベル群であり、 r(na)=r(a+...+a)=n(ra)=(ra+...+ra)=(r+...+r)a=(nr)aとなることに注意が必要です。
…そんな注意が必要なのは私だけかもしれませんが。ちなみにここで躓いたためにノートは全然進みませんでした…。


今日はTheorem 2.5まで読みました。2節は自由加群の話です。2日目に「加群の生成集合は基底とは言わないんでしょうか?」と書きましたが、加群を生成する”線形独立”な集合のことを基底というようですね。私は線形代数で何を習ったんでしょう?

T2.1で自由加群の特徴づけをしていますが、ここでは単位的環上の単位的加群のみを扱っていて、その後も単位的加群について考えていくようです。単位的でない加群を含んだ加群の圏についての話や、単位的でない一般の環上の加群の自由加群については演習にあるようですが、やりたくないなあ…。
(追記20220531:一要素上の自由対象を考えれば一般の集合に対してはその直和を考えればいい。単位的環上 Rの単位的でない加群は、まず一般の R加群 Aが単位的部分加群(の最大) B RC=0となる部分加群Cに直和分解され( C a - 1_R aの元の集合)、そのような加群の間の準同型は直和成分ごとに計算できることから、自明な作用による R加群 \mathbb{Z}を用いて R \oplus \mathbb{Z}として、任意の準同型 R \oplus \mathbb{Z} \to A = B \oplus C (1_R,0) \mapsto b (0,1) \mapsto cを決めることで定まる。単位的でない一般の環 R上の加群は、単位元を付与した標数0の環 S = R \oplus \mathbb{Z}になる。 R Sに埋め込まれることから Sの部分環なので S R加群となり、任意の Sの元 (r,n) = (r,0) + (0,n) = r(0,1) + (0,1) + ... + (0,1) = r 1_S + n 1_Sと、 S単位元 1_S = (0,1)で生成されるので、任意の R加群 Aへの準同型 fは、 f(r,n)=f(r 1_S + n 1_S)=(r+n)f(1_S)として 1_Sによって決定される。)

この本ではベクトル空間を可除環上の加群と定義しています。係数環が可除、つまり割り算ができるので、線形独立な元を集めることで基底が構成できます。つまりベクトル空間は可除環上の自由加群ということになります。逆も成り立つという演習問題がありますが見なかったことにしましょう。
ところでベクトル空間を体上の加群というのを目にしたことがあるのですが、別に可換性はなくてもいいんですね(流派の違い?)。

自由アーベル群と自由加群の違いが少しずつ出てきています。 \mathbb{Z}の自明でない部分群は \mathbb{Z}と同型ですが、環についてこれは成り立たないので、自由加群の部分加群は一般に自由加群ではありません。ちらっと続きを見ると係数環によって自由加群の性質はいろいろ異なるらしく(すでに単位的であるかどうかで元がどのように書けるかが変わっている)、めんどくさい感じが出てきましたね…。


4章は7節あるのですが、1節4日ペースだとクリスマスまでに終わりませんね。どうしましょう。

明日も頑張ります。