Hungerford5章読む(2)

全くやりたくないけど1日坊主はさすがにあれなので…と思ってたら2日ほど寝て過ごしてました。しかも序盤なのに盛大に詰まって…もうだめですね


T1.3は体 K上で生成された環が多項式環となることを言っています…が、証明のほとんどが演習になってますね…。(vi)を見るとまあ生成群の証明(T1.2.8)と同じですね。すなわち、多項式の集合 E K \cup Xを含む環になることから、生成環 K \lbrack X \rbrackの最小性より K \lbrack X \rbrack \subset Eが言えて、 K Xを含む任意の環は Eを含むので E \subset K \lbrack X \rbrackとしています。
後半はいまいちピンと来てなかったけど、 f ( u_1 , ... , u_n ) \in Eは展開すると k_1 ( u_1 ^{m_1} ... u_n ^{m_n})+...で、有限個の u_iの積に k_jで重みを付けた有限和(なので K \lbrack X \rbrack Eの元をすべて含む)だからやっぱりやってることは群のときと一緒なんですよね…。(vii)は、もし生成集合が無限集合でも、その元は有限個の生成元しか持たないということでしょう。

 K \lbrack u_1 , ... , u_n \rbrack が生成元の順序に依らないことは和や積が可換なことに対応しそうです。 K \lbrack u_1 , ... , u _{n-1} \rbrack K \lbrack u_n \rbrack = K \lbrack u_1 , ... , u_n \rbrack は、C3.5.7と関連付けると、 K \lbrack x_1 , ... , x _{n-1} \rbrack K \lbrack x_n \rbrack \overset{\leftarrow i}{\underset{j \rightarrow}{\cong}} K \lbrack x_1 , ... , x_n \rbrack と、それぞれT3.5.5を満たすので K \lbrack x_1 , ... , x _{n-1} \rbrack K \lbrack x_n \rbrack \overset{\psi}{\to} S K \lbrack x_1 , ... , x_n \rbrack \overset{\phi}{\to} S \phi = \psi i , \psi = \phi jとなり、 i jも全(単)射なので \mathrm{Im} \psi = \mathrm{Im} \phiで導出できそう?
(20220702:なんか難しいことを書いてるけど、積が結合的だから (a x_1^{k_1} ... x_{n-1}^{k_{n-1}}) x_n^{k_n} = a x_1^{k_1} ... x_{n-1}^{k_{n-1}} x_n^{k_n}でいいのでは…ってなってきた。
ところで、(1)でも書いたように具体的な表示を持ち出すまでもなくこれらは証明できそうですよね…。前者は生成集合の順番が変わるだけですし。後者はちょっと複雑ですが、 K \lbrack u_1 , ... , u _{n-1} \rbrack K \lbrack u_n \rbrackは明らかに u_1 , ... ,u_n Kを含むので K \lbrack u_1 , ... , u_n \rbrackの最小性から K \lbrack u_1 , ... , u_n \rbrack \subset K \lbrack u_1 , ... , u _{n-1} \rbrack K \lbrack u_n \rbrackが言えて、同様に K \lbrack u_1 , ... , u_{n-1} \rbrack \subset K \lbrack u_1 , ... , u_n \rbrack \lbrace u_n \rbrace \subset K \lbrack u_1 , ... , u_n \rbrackから K \lbrack u_1 , ... , u _{n-1} \rbrack K \lbrack u_n \rbrack \subset K \lbrack u_1 , ... , u_n \rbrack。)

次に体の合成という概念が登場します。 Fの部分体 L, Mの合成 LM L \cup Mが生成する体なので、定義より L(M) = LM = M(L) =MLです。 L \cap Mのある部分体 Kについて \exists S \subset M, M = K(S)が成り立つ時、 LM = L(M) = L(K(S)) = (LK)S = L(S)となります*1。有限個の部分体 E_1 , ... , E_n の合成は E_1 \cup ... \cup E_n が生成する体で、 E_1 ... E_n  = E_1 ( E_2 ( ... ( E_{n-1} ( E_n ) ) ... )は…これは定義に従って順番にやれば明らかでは?演習4.1.5になってるけど…。

 K \subset Fの中間体 L, Mについて、次元 \lbrack LM : K \rbrackはT1.2より \lbrack LM : M \rbrack \lbrack M : K \rbrack = \lbrack LM : L \rbrack \lbrack L : K \rbrackと等しくなります。 \lbrack LM : K \rbrackが有限のときは \lbrack M : K \rbrack \lbrack L : K \rbrackも(T1.2より)有限で、 \lbrack M : K \rbrack \lbrack L : K \rbrackの公倍数となり、T4.2.1とT4.2.7より適当な基底を定めて計算すれば \lbrack LM : K \rbrack \leq \lbrack M : K \rbrack \lbrack L : K \rbrackが言えるので*2 LCM( \lbrack M : K \rbrack ,  \lbrack L : K \rbrack ) \leq \lbrack LM : K \rbrack \leq \lbrack M : K \rbrack \lbrack L : K \rbrackが得られます。この不等式は( \lbrack LM : K \rbrackが有限の代わりに) \lbrack M : K \rbrack \lbrack L : K \rbrackがともに有限であるときも成立します。なぜならこの時も上のように L,Mの基底を定めて計算することができてやはり \lbrack LM : K \rbrackを有限に抑えることができるからです*3

ここからさらに怪しくなります…(演習4.1.21の話)。
(有限のときに) L, M K以外の非自明な共通部分を持つ時、それが L Mの基底に含まれるように基底を構成すると \lbrack LM : K \rbrack \neq \lbrack M : K \rbrack \lbrack L : K \rbrackになるので、対偶より \lbrack LM : K \rbrack = \lbrack M : K \rbrack \lbrack L : K \rbrack \Rightarrow L \cap M = Kとなります。逆は成り立たず、すなわち2つの体が自明な交差しかもたない(trivial intersection)であってもそれらが線形無関係(linearly disjoint)でない場合があります(参考:abstract algebra - Degree of composite field - Mathematics Stack Exchange)。すでに上の議論から \lbrack L : K \rbrack , \lbrack M : K \rbrack が互いに素ならば線形無関係になることがわかりますね。
逆が成立する別の条件として、例えば \lbrack M : K \rbrack = 2の場合も自明な交差をもつ L , Mが線形無関係になります。つまり Kの要素ではない Lの基底 l_1 , ... , l_n Mの基底 m_1 , m_2の積は線形独立です。イメージとしてはある点を通る直線は紙にいくらでも引くことができますが線形独立な直線は高々2本しかないということでしょうか。では証明(案)を書きます。 k_{11} m_1 l_1 + ... + k_{1n} m_1 l_n + k_{21} m_2 l_1 + ... + k_{2n} m_2 l_n = 0を考えるのですが、まず m_2で全体を割ってみます。基底は線形独立なので m_1 ( m_2 ) ^{-1} = m Kの元にはならず、 l = k_{21} l_1 + ... + k_{2n} l_n \in L m l_i \notin Lによって k_{11} m l_1 + ... + k_{1n} m l_n + l = 0と簡略化されます。 k_{11} m l_1 + ... + k_{1n} m l_n \neq 0とするとこれは lは明らかに線形独立なのでいずれにせよ l=0 k_{11} m l_1 + ... + k_{1n} m l_n = 0については mで括れば言えそうですね*4


めちゃくちゃ雑にやってるのに全然進まないくてつらい。

*1:最後から二番目の等号は雑に書いたけど、 L \cup K \cup Sが生成する体と思っていけないかな…前回や前段落でごまかしたのも似たところですね

*2:多分

*3:実はこの段落の話は演習4.1.20なのだが、そこでは[LM:K]が有限 iff [L:K]と[M:K]が有限を最初に示してから不等式を示しているので違う方法がある?

*4:たのむ