Hungerford4章読む(12/10)

これは「今年中にHungerford4章読むぞ Advent Calendar 2021」10日目の記事です。昨日知ったのですが、アドカレは(子供が起きる)朝までに投稿しないとだめらしく、どうやら今の状態はほぼ丸一日遅刻しているようです…。


圏の(対象と射で決まる)概念は射を反転させることで双対が得られる。このひっくり返した射のことも双対と呼ぶ。†デュアル†、かっこいいですね。
というわけで、今日は射影的の双対概念として単射加群の勉強をしました。

積には余積という双対が存在するけど、自由加群の双対は存在しないようです(加群以外はどうなのかな)。考えてみると、基底 X \lbrace a \rbraceの場合は「余自由加群 F」として \lbrace 0 \rbraceが存在しますが、 |X| > 1の場合は、像が \lbrace x \neq a \rbraceとなる AからXへの写像に対しては、可換となる準同型 A \to Fが得られない気がします(演習3.13では係数環からの準同型を考えてるけどこれでもいいよね?)。

以下では単位的環上の単位的加群を考えます。

L3.8で、単射加群 Jが係数環 Rイデアル Lからの R加群準同型によって特徴づけられることが言われます。ちゃんと書くと、準同型 f: L \to Jと包含写像 i: L \hookrightarrow Rが存在する時に、「 fを拡張した」準同型 h: R \to Jが存在して hi=fとなることを言っています。これは J単射的ならば定義から明らかに存在することが言ます。
逆も成立し、このような写像 hが存在する時 J単射的ですが、この証明はZorn補題を用います。


0 \to A \stackrel{g}{\hookrightarrow} B \\
\quad \quad \downarrow f \\
\quad \quad J

証明の流れは、写像 \mathrm{Im} g \to Jの定義域を拡張してZornによって極大な h: H \to Jを得てから、最後に H = Bを得る形です。つまり H \neq Bのとき b \in B - Hが存在しますが、 bが生成する加群 Rbを定義域に加えた H + Rb \to Jが作れてしまうことを言います。
イデアル L = \lbrace r \in R | rb \in H \rbraceとすると、仮定により L \to J Hに入れてから h Jに送る準同型)を拡張した k: R \to Jが得られます。 H + Rb \to J h + rb \mapsto h(a) + k(r)とすると、計算によってwell-definedなことが確かめられるので、最後に準同型を確かめれば証明が完了します。
ところでこの証明では k(r)とせずに c = k(1_R)として rcを考えています。これは、単位的環 R自身を R加群とみなすと加群準同型 k: R \to J, r,1_R \in Rについて、 f(r) (= 1_R f(r) = f(1_R r)) = f(r 1_R) = r f(1_R)となる(括弧内は単位的加群のみ)ことからわかります。 1_Rの行先が加群準同型を決めてるのは面白いですね。


一気に3節を終わりたかったですが、力尽きましたので残りは明日に回します。

明日も頑張ります。