Hungerford4章読む(12/12)その1

これは「今年中にHungerford4章読むぞ Advent Calendar 2021」11日目の記事です。完全に遅刻ですね。12日目の分も今日中に書きます…。

今更だけど、本の内容と私の(誤りがたくさん入ってるだろう)考えが分離されていないので、いないとは思うけど読む人は注意してください。


以下ではアーベル群であることと(単位的) \mathbb{Z}加群であることは同じであることに注意します。

「アーベル群」 Dが可除であるとは、任意の y \in D, 0 \neq n \in \mathbb{Z}に対してある x \in Dが存在して nx = yとなることを言います。関連する例がいくつか挙げられています。

  •  \mathbb{Q}は可除(演習になっているがほぼ明らかでは?)。
  • 0でない有限アーベル群は可除にはならない( n倍する自己準同型が全て単射でなければならないが、各元は有限の位数を持つため、どこかで非自明な核をもつものが存在する)
  • 0でない自由アーベル群は可除にはならない(各元は基底の線形和 n_1 x_1 + ... + n_k x_kと書け、 n_1 , ... , n_kの最大公約数より大きい nを考える)。したがって \mathbb{Z}は可除でない。
  • 可除な群からの準同型像は、可除である(準同型の定義を使う)。
  • 各アーベル群が可除であることとその直和が可除であることは同値( \Leftarrowは射影の像を考える。 \Rightarrowは成分を書き下せばいい。実は(弱でない)一般の直積の場合でも成立して、下のL3.9によってまず単射 \mathbb{Z}加群であることを考えてから、P3.7でその直積も単射的であることを通して、もう一度L3.9を用いると示せる。)

L3.9でアーベル群 Dが可除であることと D単射 \mathbb{Z}加群であることが同値なことが示されます。 \Rightarrow \mathbb{Z}から \mathbb{Z}加群への準同型 h h(1)=xを用いて h(n)=nxと書けることを使います。 \lbrace n \rbrace上の自由アーベル群 \langle n \rangleを考えると、任意の y \in Dに対して準同型 f: n \mapsto yを唯一作れます。 \langle n \rangle \subset \mathbb{Z} D単射的なことから、ある hが存在して y = f(n) = h(n) = n f(1) = nxとなります。 \LeftarrowはL3.8を使います。まず \mathbb{Z}の左イデアルは、部分群が n \mathbb{Z} = \langle n \rangleのみなことを考えれば、これは \langle n \rangleのみなので、準同型 f: \langle n \rangle \to Dを考えればよいです。 f(n) = n f(1) = nxとすると Dの可除性から x \in Dとなるので、 h: \mathbb{Z} \to D, 1 \mapsto xと定義することで fの拡張を得ることができます。

任意の可除なアーベル群は複数の \mathbb{Q}といくつかの pによる Z(p^{\infty})の直和で書けるらしく、演習問題となっていますが無視します。

任意のアーベル群 Aは自由 \mathbb{Z}加群 Fの準同型像なので、 F \to Aの核 Kとして A \cong F/Kとなります。 F \mathbb{Z}の直和で、 \mathbb{Z} \subset \mathbb{Q}なことから、 F \mathbb{Q}の直和 Dに(アーベル群の単射準同型 fによって)埋め込まれます。C1.5.8を用いると F/K \stackrel{\bar{f}}{\cong} f(F)/f(K)が誘導され、 A \cong F/K \cong f(F)/f(K) \subset D/f(K)が得られます。上の例から Dは可除なことがわかっているので、その射影 D/f(K)は可除であることから、任意のアーベル群 Aが可除アーベル群に埋め込まれることが証明されます(L3.10)。

午後には入りたくないので3節の残りはその2に回します。


時々命題や定理などで「may」が使われるけど、あれはどういう気持ちが込められているんだ…?

明日今日も頑張ります。