Hungerford4章読む(12/22)
これは「今年中にHungerford4章読むぞ Advent Calendar 2021」20日目の記事です。記号の量がどんどん膨らんできてTeXがおそろしいことになってきた…。
しばらく前回導入したテンソル積についての命題が続きます2
T5.7は、単位的環と単位的加群について、加群の同型が成立することを言っています。は加群になるので、左辺が加群になることはT5.5よりわかります。が平衡写像であることを確認すると、テンソル積の普遍性よりアーベル群の準同型が誘導され、これが左加群準同型であることもすぐにわかります。あとは逆写像をのように作ればいいです。
次に、テンソル積の結合法則のようなものを考えます。環と加群に対して、は右加群、は左加群なので、がそれぞれ定義でき、これらの間にアーベル群の同型が存在します(T5.8)。したがって単にと書くことができ、さらにn重のテンソル積を環と加群に対してと定義できます。これらもD5.1と同様にからの平衡写像の圏における普遍対象で定義できるという演習がありますが、ぱっと見ただけでめんどくさそうだったので飛ばします。
T5.8の証明ですが、まずがの形の元で生成されることを、テンソル積の定義に従って順番に展開していくことで示します。同様にはの線形結合で書けます。テンソル積の写像を作るために平衡写像をとして定義します。テンソル積の普遍性よりアーベル群の準同型が定義できます。同様にも導けて、これらが互いに逆写像となります。
T5.9で今度は分配法則のようなものが示されます。環、右加群、左加群に対して、アーベル群の同型とが存在します。
加群の直和に対して自然な入射と自然な射影が存在します。準同型は、射の族を用いて、として作れます。逆方向の準同型はテンソル積の普遍性を用いて、すなわち平衡写像からを誘導します。この平衡写像はいったん射影したあと入射で戻す形になっていますね。
あとはが互いに逆写像となることを言えばいいです。の元が、の元が自然な入射を用いてからそれぞれ生成されることに注意して計算すればできるようです。成分の計算において、本文では添え字の範囲をのように非零に限定して有限個の和であることを強調していたことを注記しておきます。
T5.10はテンソル積のAdjoint Associativityという性質についてです。日本語だと随伴結合法則?検索するとテンソル積とHomの随伴性などと言われているようです。環と加群に対してアーベル群の同型が存在し、任意のに対してが成り立ちます。関数適用の結合がテンソル積に置き換わるといった感じでしょうか。
この式のHomはともに右加群準同型の集合です。特には右作用によって右加群となります。証明は素直に、まず問題文に沿ったが構築できて、アーベル群の準同型であることを言ってから、逆関数をとして定義すればいいです。の定義は平衡写像を作ってから誘導すればよくて、T5.5を用いて右加群準同型だと言うことができます。
単位的・単位的でない・アーベル群・加群などが完全に混乱してきた…。
明日も頑張ります。